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SNN(ソーシャル・ニコアン・ネットワーク) 第2章 もし日本中のニコチン・ユーザーが北風小憎夫の「ニコアン」を読んだら(第11回)

【警告】タバコを愛している方は、絶対に読まないでください。



……でも読みたい方は、【前編】からお読みください。




空が暗くなる。



稲妻が光る。



「ニコ」の顔を、浮かび上がらせる。

美しいその顔が一瞬、ドクロのように見える。

雨が激しく降りしきる。

私は、頭からずぶ濡れになる。

半分開いた扉の陰で、ニコは私を冷たく見下ろしている。



「……後悔しないなら、教えてあげるわ」



雷鳴。



「さっきの男は、誰なんだ」

私は声を絞り出した。



「……この、クラブ『JT』のオーナーよ」

「オーナー? この店は、民営じゃないのか」

「それは、見せかけ。」

ニコはいった。



「クラブ『JT』には、組織のバックがついてるのよ」

「バック?」

私はオウム返しだ。



「……財務組」

その名を聞いて、私は耳を疑った。

「ざ……財務組?」


s-財務組




財務組といえば、泣く子も黙るという、この国の最中枢組織だ。

ときの総理大臣でさえ、その意向には逆らえないという。

それにしても、なぜ、クラブ「JT」まで、財務組の手が伸びているのだ?

この界隈、この業界を取り仕切っている組織といえば、私は、「厚労会」だとばかり、思っていた。

それが、世界の常識だからだ。



「JTは、財務組のヒモつきなのよ。」

「じゃあ、このクラブも、君も……」

「そう」

ニコちんは、冷たく微笑んだ。



「財務組のために、働いているのよ」

「じゃあ、さっきの男は……」

「もちろん」

雨がさらに激しくなる。



「財務組の、会長よ」

「何を渡していた?」

「お金よ」



稲妻が光る。

「このお店の売り上げを、上納していたに決まってるじゃない」

「上納……」

「そう。ヒモつきって、そういうことでしょう」



ニコは説明してくれる。

私の心を、冷たく凍らせる説明を。



「あなたが私に払ってくれる、このクラブの料金、ワンセット、300円よね。

そのうちの、190円は、財務組の取り分なのよ」

「そんなに……? 半分以上、いや、3分の2じゃないか!」

「そうよ」

「私は、君のために、払っていたんだ」

「世の中、そういうものなのよ」

ニコは、子ども相手のように笑う。



「毎日毎日、2セット600円を払ってくれて、どうもありがとう」

「……」

「そのうち3分の2だから、毎日、あなたは約400円を、財務組のために払ってくれていたの」

「……君は、僕を……?」

「なあに?」

「愛していたんじゃないのか?」

雨が降りつける。



「……まさか」

私は、ぬかるみの中に膝をついた。



「僕を、何だと思っていたんだ?」

「もちろん、お・客・さ・ま」

ニコは目を細めた。

「いや……正確にいえば、カ・ネ・づ・る・ね。」



私は震えた。

怒りに。

絶望に。



「騙していたんだな!」

「騙される方が悪いんでしょ」

ニコの顔から笑みが消える。

邪悪な陰がにじみ出す。

それでも美しい。



「だったら、別れましょ」

ニコの言葉が、私の心をえぐり抜いた。

私は泥に手をついた。



「いいわよ。もう来なくて」

「そんな……」

「代わりはいくらでもいるんだから」

「ニコちん……」

「気安いんだよ」

ニコの顔が鬼になった。



「誰が、アンタなんか愛するもんか。カネのために、しゃぶらせてあげてたんだ。

そうでなきゃ、誰がアンタみてえな、ダサくて、ショボくて、くせえオヤジと」

「臭い……?」

私は泣いていた。

雨に打たれ、泥にまみれて。



「アンタ、ヤニ臭いんだよ。

ただでさえ、ダサくてエロくてみっともねえオヤジが、しかもヤニ臭かったら、女がよりつくわけねえだろ?」

「君は……」

「カネのため。何度いえばわかるんだよ」

「ニコ……」



私は泣きじゃくった。



「じゃあね。サヨナラ」

「ニコォ……!」

「あなた、私と、別れられるんでしょ?」

「わ…わ……別れられなーい!」

「私がいなくても、生きていけるんでしょ?」

「生きて……いけなーい!」



私は号泣した。



「そうよね」

ニコが、微笑んでくれた。

「そういうふうに、しつけたんだから」

私は、泥の中に、顔を突っ込み、泣いた。



「あなた、私のこと、好き?」

「好ぎだぁーーー!」

「です、でしょ」

「……好ぎでずぅ~~~!!」

「愛してる?」

「愛しでまず~~~!」

「離れられる?」

「離れられなーーーーい!」

「そうよね。あなたは、私の。」



雷鳴が轟いた。



「……奴隷なんだからね」



◆ ◆ ◆



そうだ。

私は、奴隷だ。

ニコの奴隷だ。

こんなにされても、離れられない。

私は、ニコがいなくては、生きていけない。

明日、たった一日すら、暮らすことができない。

仕事も手につかない。



私はこれからも、一生、死ぬまで。

ニコちんの、奴隷として生きていこう。

たとえ、どれだけカネがかかっても。

そのカネの大部分が、彼女のバックの「財務組」の、資金源になったとしても。

私に、ニコと別れることなど、できるわけがないのだから。



「じゃあ、あなた」

上から、ニコの声がした。

私は、泥まみれの顔を上げる。



「また今夜、いつものように、来てね」

私は、泥と涙で汚れた顔で、うなずく。

必死にうなずく。



「愛してるから」

「……愛してる」

私は声を絞り出す。



彼女が、扉の中に消える。

音を立てて、扉が閉まる。

私は、ひざまずいたまま、泣きじゃくった。



……扉が開く音がした。

私は顔を上げた。

ニコがいる。

私を見下ろして、こういった。



「一つ、いい忘れていたわ」

ニッコリと笑う。

「うちのお店、10月から値上げするの。

ワンセット、300円が400円ちょっとになるけど、来てくれるわよね」



再び、冷たい笑みに戻り、

「あなたは、私の奴隷なんだから」

扉が閉まった。

私は、絶叫した。



◆ ◆ ◆



結局、それっきり、私は「クラブ・JT」には、行かなくなった。

ニコにも、それっきり、会っていない。



もちろん、初めは、行くつもりでいた。

あんな目に遭っても、私は、ニコちんの奴隷なのだから。

行かずにはいられない……そう覚悟していた。



しかし、あの雨の日、帰った私の家の、ポストに。

1冊の本が届いていた。

注文した覚えはない。

その本のタイトルには、

「ニコチン・アンインストール・バイブル」

とあった。



その日、私は、その本を読んだ。

世界が一変した。

読み終わったとき、私は、「ニコちんのことは、忘れよう」と、決意した。



その日の夜、私は、ニコからもらった「プレゼント」を、すべて処分した。



プレゼント……?

いま思えば、よくもまあ、あんなプレゼントをもらって、喜んでいたものだ。

私はこれまで、ニコにはおそらく、数百万円という金額を貢いだはずだ。そのお返しに、ニコからもらったプレゼントといえば。

「クラブJT」の、ロゴ入りライターだけだった。



私は、そのライターのガスを抜き、ゴミとして捨ててから、床に着いた。



その夜、私は、一晩中、泣いた。

今までの、ニコちんとの、思い出。楽しかった日々。

ニコちんの魅力。香り。指の味。



もう二度と、ニコちんに、会うことはない。もう二度と、決して。



私は、泣いて、泣いて、やがて泣き疲れて、眠った。





そして目覚めた翌朝、私はもう、クラブJTにも、ニコちんにも、興味を失っていた。



クラブJTの会員証も、破り捨てた……。「タスポ」という会員証を。



心の中に、ポッカリと大きな穴が、空いたような気がした。だが、それはとても、すがすがしかった。



◆ ◆ ◆



それから、一ヶ月ほどが経った、ある日。

街を歩いていた私は、ふと、クラブ・JTの看板を、見つけた。

もちろん、もう二度と、あの店に入る理由はない。

だが。

ニコは。

あの、美しく、魅力的だったニコは、どうしているだろうか……。



ふっと、そんな気がして。

電柱の陰から、しばし、店の扉を見つめていた。



やがて、扉が開き。

人影が出てきた。

一人の客と、もう一人。

あの、折れそうに細いスタイルは、ニコだ。

客は、ニコを抱き寄せ、火をつけ、吸っている。

ニコの、表情は見えない。



やがて、客が帰り、彼女がこちらに顔を向けた。

私は、戦慄した。



やはり、あの店には、何か特別な「力」があったようだ。

私はずっと、「幻想」を、見せられていたのだ。



あれほど、美しく、悩ましく見えていた、ニコ。

彼女の顔は真っ白く、眼窩にはぽっかりと、黒い穴が開いていた。



その顔は、ドクロそのものだった。







終 わ り





シリーズは続く


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2011-02-28 : ソーシャル・ニコアン・ネットワーク【第2章】もし日本中のニコチン・ユーザーが北風小憎夫の「ニコアン」を読んだら : コメント : 0 :
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Author:六本木タツヤ(ニコアン・カウンセラー)
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